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超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策~インタビュー編④~

第32回
超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策~インタビュー編④~

([連載]WEBマーケティングの現場から読み解くエクステリア業界vol.32 2017年11月号/月刊エクステリアワーク)

 

☑ 介護を交えたエクステリア提案が増えてきた

☑ 今後、さらに介護エクステリアのニーズが増えてきそう

☑ 介護エクステリアの提案力をもっとつけたい

☑ 介護・リハビリテーションのプロの視点からみたエクステリアとは?

 

今回も「介護エクステリア」をテーマに、今月からは静岡県浜松市にある保健医療福祉の総合大学『聖隷クリストファー大学』の助教であり、作業療法士でもある中島ともみ先生のインタビューをお送りしていきます。
家族の誰かを介護するにあたり、またはいずれ来る自分の老後に備えてお住まいを介護しやすい設計にリフォーム・新築する方も非常に多い中、エクステリアにできることはもっとたくさんあるのではないでしょうか。これまでに介護用エクステリアを設計したことのある販工店さんも多いとは思いますが、介護のプロフェッショナルから見た現在のエクステリアはどのように見えているのか、具体的なお話をいろいろとうかがってきました。

 

話し手 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教・中島ともみ先生

聞き手 ㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

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前号のおさらい前号でお伝えした「エクステリアと自宅介護」におけるポイント4つ

  1. 一般的な介護住宅・介護リフォームにおけるエクステリア

  2. 「介護される側」だけではなく「介護する側」の存在

  3. 建築の考え方では当たり前のことが介護の視点では異なる場合も

  4. 介護とエクステリアに共通する考え方は「個別の事情に対応する」

このシリーズでは、これら4つのポイント別に分けて中島先生の具体的なお話を掲載しております。

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《今回のテーマ》
4.介護とエクステリアに共通する考え方は「個別の事情に対応する」

◆「どうしたいか」「どうするべきか」を一緒に考えていくという共通点

前号でお話しいただいたテーマでは、一般的な建築と作業療法での根本的な考え方の相違点についてお話しいただきました。そしてこのシリーズにおいて最後となるテーマは、両者の共通点についてになります。

 

(中島) 作業療法と建築における最も大きな共通点は、個々の需要に合わせて対応していく点ですね。作業療法士というのは、フィジカル面とメンタル面、かなり広い範囲をケアしていく分野ですが、フィジカルの悩みもメンタルの悩みも人によって千差万別です。その人が求めていることや必要なことを一人一人に合わせて細かくプランニングしていきます。

 

外構プランも確かにそうですね。施主様の要望や生活スタイルをしっかりヒアリングしてオーダーメイドで作っていきますので、介護エクステリアでも一般的なエクステリアでも、個別の事情に臨機応変に対応していく点は同じと言えそうですね。

 

(中島) 統計学的には95%の人が快適と答えれば合格ラインとなりますが、作業療法では残りの5%の人にまでしっかり寄り添って考えていきます。たとえ95人の人に有効なリハビリだったとしても、いま向き合っている人は5%のほうかもしれない。100%全員にしっかり合ったリハビリを提案していきたいというスタンスは外構業者の皆さんとよく似ている部分ではないでしょうか。
 

 
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◆「ちょっとした手間」がベスト

最終的なゴールとして「その人らしい生活を実現してもらう」という大きな目的も同じですよね。

 

(中島) そうですね。作業を楽しくしてもらえるようにお手伝いするのが作業療法士の仕事ですから、お庭で植物を育てるという作業をいかに快適に楽しくしてもらうか、というエクステリア提案の仕方も私たちと似ているのではないでしょうか。

 

作業療法士さんから見て、例えばお庭を使った趣味を持ってみたいというご要望のある方にはどんな風に提案するのがいいと思われますか?

 

(中島) 健康な方もリハビリが必要な方も同じですが、人間は「しんどい」と思うことは自然とやらなくなります。かといって全てが楽になってしまうと今度は楽しさを感じなくなります。そのちょうど中間くらいの「ちょっとした手間」という作業になるような提案内容がベストですね。遠い水場から長いホースを引きずってきたり、じょうろを持って何度も往復しないといけないような作業が毎日必要になると、きっと次第に足が遠のいてしまいます。しかし、快適に水やりができる環境があれば、「面倒」ではなく、「世話をする」という感覚になります。

 

最近は生け垣や大きな松のあるお宅をあまり見なくなりましたが、脚立に昇って植物の剪定をするのは「しんどい作業」、毎日水を撒くだけなら「ちょっとした手間」ということですね。

 

(中島) どこまでが「手間」で、どこからが「しんどい」のか、その境界線は人それぞれですので、作業療法では患者さんの性格や考え方などもしっかり把握していきます。それと同じように、外構業者さんでも介護エクステリアを提案する際には、お客様の性格や考え方なども考慮してご提案をしていくのが最適だと思いますね。

 

■今回の対談から見えてきたこと

1. 95%の人にも5%の人にも満足してもらえる提案・お手伝いをしていくる

2. 「しんどい」「面倒」な作業ではなく「ちょっとした手間」になるような趣味提案をする

3. 介護エクステリアの提案では、より一層ご家族の人柄に寄り添った提案を

4カ月にわたって、作業療法士さんから見たエクステリアというインタビューをお送りしてきました。今後、より一層ニーズが増え続けていくであろう介護エクステリア。外構業者としても作業療法の多少の知識を持って設計に臨みたいところですね。

次号からは、対面営業・紹介営業をメインとする生命保険会社のスカウトマンに「紹介営業の極意」「営業マンとしてあるべき姿」について語っていただいたインタビューを掲載していきます。

 

こちらの連載記事は月刊エクステリアワークに載っております。ご購読希望の方はリンクよりサイトにお進みください。

 

 

[著者プロフィール]

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㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

一級エクステリアプランナー。大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、二級建築士の資格を取得。2013年5月に㈱クラッソーネに入社し、同社が運営する優良エクステリア業者紹介サービス「エクステリアの匠」の事業部長に就任。現在はエクステリアWEBマーケティングのプロフェッショナルとして700社以上の提携業者サポートと、年間2000件のエンドユーザー対応を行っている。データや数字から導き出される的確な判断は、業界関係者から厚い信頼を寄せられている。

 

 

加納 拓

加納 拓

二級建築士、1級エクステリアプランナー。 大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、2013年5月にエクステリア工事マッチングサービス 「エクステリアの匠」を立ち上げる。「現場目線のマッチングサービス」として 「エクステリアの匠」は利用社数1000社を超える日本最大級のエクステリア工事マッチングサービスに成長。2018年からは 「エクステリアの匠」での経験と知識を元に、全国のエクステリア関連企業向けにウェブ・営業・ブランディングなどのコンサルティングを行う会社「株式会社タクミテーブル」を創業、代表取締役社長に就任。「IT企業目線ではなく、エクステリア販工店の現場目線でのIT活用術を提案する」ことを目的とした姿勢は多くのエクステリア関連企業から評価を得ている。

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