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超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策~インタビュー編③~

第31回
超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策
~インタビュー編③~

([連載]WEBマーケティングの現場から読み解くエクステリア業界vol.31 2017年10月号/月刊エクステリアワーク)

 

☑ 介護を交えたエクステリア提案が増えてきた

☑ 今後、さらに介護エクステリアのニーズが増えてきそう

☑ 介護エクステリアの提案力をもっとつけたい

☑ 介護・リハビリテーションのプロの視点からみたエクステリアとは?

 

今回も「介護エクステリア」をテーマに、今月からは静岡県浜松市にある保健医療福祉の総合大学『聖隷クリストファー大学』の助教であり、作業療法士でもある中島ともみ先生のインタビューをお送りしていきます。
家族の誰かを介護するにあたり、またはいずれ来る自分の老後に備えてお住まいを介護しやすい設計にリフォーム・新築する方も非常に多い中、エクステリアにできることはもっとたくさんあるのではないでしょうか。これまでに介護用エクステリアを設計したことのある販工店さんも多いとは思いますが、介護のプロフェッショナルから見た現在のエクステリアはどのように見えているのか、具体的なお話をいろいろとうかがってきました。

 

話し手 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教・中島ともみ先生

聞き手 ㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

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前号のおさらい前号までにお伝えした「エクステリアと自宅介護」におけるポイント4つ

  1. 一般的な介護住宅・介護リフォームにおけるエクステリア

  2. 「介護される側」だけではなく「介護する側」の存在

  3. 建築の考え方では当たり前のことが介護の視点では異なる場合も

  4. 介護とエクステリアに共通する考え方は「個別の事情に対応する」

このシリーズでは、これら4つのポイント別に分けて中島先生の具体的なお話を掲載しております。

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《今回のテーマ》
3.建築の考え方では当たり前のことが介護の視点では異なる場合も

◆建築的な動線は外から中に、作業療法的な動線は中から外に

前号までで伺ってきたお話は、作業療法の観点からエクステリアを見たときの具体的な留意点でした。では、そもそもの考え方の部分での相違点はありますか?

 

(中島) 動線をイメージするときに、根本的な考え方が違うと感じることがあります。建築的には外から家の中に入ってくるイメージで考えることが多いと思いますが、作業療法的に見れば逆になります。作業療法としてベストな住まいのあり方を考えると、ベッドから起きるところがスタート地点です。エクステリアにおいても、外から家の中に入るイメージよりも、ベッドからいかに安全にスムーズに外出していけるか、という観点で考えたほうがいいと思いますね。

 

そういう意味では真逆の考え方になりますね。家の中に入りやすいエクステリアというより、家から外出しやすいエクステリアという考え方を根本に持っておいたほうが、介護される側にとって結果的に快適な住まいになるんですね。

 

(中島) 体の自由がきかなくなったからといって家に引きこもってしまうより、できる範囲で外に出て散歩したり買い物したり、人に会う生活を送るほうが気持ち的にも前向きに暮らしていけますよね。とにかく大切なことは「出かけよう」という気持ちを持ってもらえるようなエクステリアに、ということですね。
 

 
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◆杖・車椅子を使用する場面も想定内に

「外出したいと思えるエクステリア」を作るにあたり、他にも一般的な外構設計と違ってくる点はありますか?

 

(中島) エクステリアの提案では、丈夫で汚れにくく見た目も綺麗で色のバリエーションも豊富ということで玄関アプローチなどにタイルを採用することが多いと思います。駐車場の舗装も、丈夫で掃除もしやすいということでコンクリートを選ばれることが多いと思いますが、どちらも滑りやすい材質と言えますね。

 

防犯目的などでアプローチに砂利を敷くことも多いですが、それはどうですか?

 

(中島) 砂利だと車椅子が通れないので、それも避けたほうがいいです。まだ家族全員が元気で健康なうちからすべてを介護用に作っておく必要まではありませんが、介護用にエクステリアをリフォームする際にはまず滑りにくいこと・車椅子が通れることを念頭に置いた舗装材をおすすめします。

 
◆安全面を考慮しすぎての引きこもり生活はNG
(中島) 安全で歩きやすいエクステリアを提案していただきたいのと同時に、リハビリの面から考えると、安全であればそれでいいというわけではない場合もあります。

 

つまづくことを懸念して、ほとんど歩かない生活になってしまう危険性という意味でしょうか?

 

(中島) そうです。つい安全を第一に考えすぎてしまって、ご家族が食事を部屋まで運んだり、できるだけ歩かずに済む方法を選択する方もいらっしゃいますが、それでは家族からも孤立してしまいます。もし数メートルだけでも歩行が可能ならば、毎日数メートル歩いてダイニングと寝室を往復することでそれが自然とリハビリになっていきます。

 

あまりにしんどい動作は継続が難しいですが、少しの努力でできることなら達成感もありますし、生活の中にリハビリを採り入れることも作業療法としての考え方なんですね。

 

(中島) エクステリアで言えば、園芸や家庭菜園のスペースを作ることもいいと思いますよ。認知症の予防にもなりますし、ちょっとした手間をかけて植物が成長していく過程を実感できるのは、生活の中での楽しみになります。エクステリアを通してリハビリにもなり、趣味にもなるのでお勧めですね。
(次号に続く)

■今回の対談から見えてきたこと

1. 作業療法として動線を考えると、中から外へと人の動きを考える

2. 外構設計でよく採用するタイル、コンクリート、砂利は避ける

3. 安全面とリハビリ面の両方からエクステリアを考える

次回は引き続き中島先生のインタビューをお送りしますが、今回のテーマとは逆に、エクステリアと作業療法に共通する考え方についてお伝えしていきます。

 

こちらの連載記事は月刊エクステリアワークに載っております。ご購読希望の方はリンクよりサイトにお進みください。

 

 

[著者プロフィール]

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㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

一級エクステリアプランナー。大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、二級建築士の資格を取得。2013年5月に㈱クラッソーネに入社し、同社が運営する優良エクステリア業者紹介サービス「エクステリアの匠」の事業部長に就任。現在はエクステリアWEBマーケティングのプロフェッショナルとして700社以上の提携業者サポートと、年間2000件のエンドユーザー対応を行っている。データや数字から導き出される的確な判断は、業界関係者から厚い信頼を寄せられている。

 

 

加納 拓

加納 拓

二級建築士、1級エクステリアプランナー。 大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、2013年5月にエクステリア工事マッチングサービス 「エクステリアの匠」を立ち上げる。「現場目線のマッチングサービス」として 「エクステリアの匠」は利用社数1000社を超える日本最大級のエクステリア工事マッチングサービスに成長。2018年からは 「エクステリアの匠」での経験と知識を元に、全国のエクステリア関連企業向けにウェブ・営業・ブランディングなどのコンサルティングを行う会社「株式会社タクミテーブル」を創業、代表取締役社長に就任。「IT企業目線ではなく、エクステリア販工店の現場目線でのIT活用術を提案する」ことを目的とした姿勢は多くのエクステリア関連企業から評価を得ている。

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