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超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策~インタビュー編②~

第30回
超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策
~インタビュー編②~

([連載]WEBマーケティングの現場から読み解くエクステリア業界vol.30 2017年9月号/月刊エクステリアワーク)

 

☑ 介護を交えたエクステリア提案が増えてきた

☑ 今後、さらに介護エクステリアのニーズが増えてきそう

☑ 介護エクステリアの提案力をもっとつけたい

☑ 介護・リハビリテーションのプロの視点からみたエクステリアとは?

 

今回も「介護エクステリア」をテーマに、今月からは静岡県浜松市にある保健医療福祉の総合大学『聖隷クリストファー大学』の助教であり、作業療法士でもある中島ともみ先生のインタビューをお送りしていきます。
家族の誰かを介護するにあたり、またはいずれ来る自分の老後に備えてお住まいを介護しやすい設計にリフォーム・新築する方も非常に多い中、エクステリアにできることはもっとたくさんあるのではないでしょうか。これまでに介護用エクステリアを設計したことのある販工店さんも多いとは思いますが、介護のプロフェッショナルから見た現在のエクステリアはどのように見えているのか、具体的なお話をいろいろとうかがってきました。

 

話し手 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教・中島ともみ先生

聞き手 ㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

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前号のおさらい前号でお伝えした「エクステリアと自宅介護」における4つのポイント

  1. 一般的な介護住宅・介護リフォームにおけるエクステリア

  2. 「介護される側」だけではなく「介護する側」の存在

  3. 建築の考え方では当たり前のことが介護の視点では異なる場合も

  4. 介護とエクステリアに共通する考え方は「個別の事情に対応する」

このシリーズでは、これら4つのポイント別に分けて中島先生の具体的なお話を掲載しております。

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《今回のテーマ》
2.「介護される側」だけではなく「介護する側」の存在

◆「介護をする」動線

前回のお話では、家を建てるときにご家族やご自身の将来に備えて、スロープや手すりを各所に設置するよりも、部屋の窓からすぐに駐車場に出られる設計にしておくという考え方のほうが作業療法寄りであるというお話をうかがいましたが、他に留意すべきポイントはありますか?

 

(中島) 【例えば「介助者・介護士の存在」です。ご家族であったり、介護士さんであったり、「介護する側」の動線がスムーズでなければ、間接的に「介護される側」の方にもストレスを与えてしまいます。

 

具体的にはどのような箇所に気を付けて設計するべきでしょうか?

 

(中島) 例えば、「車いすの利用」=「スロープ」と思考が偏りがちですが、「旋回スペースの確保」が十分でないと、スロープは役に立てないこともあります。一般的には車いすの旋回の為には1500㎜×1500㎜以上のスペースがあればよいとされています。しかし、実際に一般住宅ではそれほどスペースをとれていないケースも多いですし、玄関のカギの開け閉めや雨の日の傘さしなど介護する側のスムーズな動きを考えるとそれ以上のスペースが望ましいですね。

車いすの昇降機はレンタルやリースをすることもできるようですから、旋回スペースの確保で在宅介護の可能性が変わってくるということですね。

 

(中島) 前号でもお話しましたが、「段差が昇れない」というだけで一生自宅に戻れなくなってしまうケースもあります。病気後や老後に自宅でゆっくり過ごしたいと思う方にとって、段差の存在をスムーズにクリアするというのはポイントです。
 

 
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◆家族や介護士さんが手伝いやすい設計を
(中島) あとは、デイケアサービスやリハビリ施設などから送迎に来てくれる場合を考えると、介護士さんなどが玄関から入ってリビングを通って…という、プライベート空間を通らずに「介護される人」の元に辿り着けるような設計であることも重要です。そういう目的も含め、駐車場から直接出入りできる窓を設置した部屋を作っておくといいと思います。

 

玄関先までの送り迎えに限る、というルールのデイケアサービスもあるようですから、玄関先とベッドの行き来はご家族が介助しながら行かなければならないというケースも多いようですね。もし送迎車が停まる駐車スペースと寝室の窓が隣接していればご家族の負担もかなり減りますし、もちろん「介護される側」の負担も軽減しますね。

 

(中島) つい介護される側の目線のみで考えてしまいがちですが、介護する側のスムーズな動線はとても重要です。「介護エクステリア」は「介護される側の心地良いエクステリア」と同時に「介護する側がスムーズなエクステリア」でなくてはなりませんね。

(次号に続く)

■今回の対談から見えてきたこと

1. 車いすの場合、スロープの設置以上に旋回スペースの確保が重要

2. 介護士さんがプライベート空間を通る必要のない設計は家族の負担軽減にも繋がる

3. 介護する側のスムーズな動線の確保も「介護エクステリア」の一環

自宅介護経験のある人でないとつい見落としがちなのが「介護する側の存在」です。家族の誰かに介護・介助が必要になったとき、そのストレスや負担は家族も抱えることになります。「介護疲れ」という言葉をよく聞きますが、家族が共倒れになることを防ぐために、エクステリアにはできることがあります。「介護する人」「介護される人」のどちらもが快適な生活を送れるような意識で介護エクステリアを考ええていきましょう。次号は建築における常識と作業療法における常識の相違についてお話してもらいます。

 

こちらの連載記事は月刊エクステリアワークに載っております。ご購読希望の方はリンクよりサイトにお進みください。

 

 

[著者プロフィール]

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㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

一級エクステリアプランナー。大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、二級建築士の資格を取得。2013年5月に㈱クラッソーネに入社し、同社が運営する優良エクステリア業者紹介サービス「エクステリアの匠」の事業部長に就任。現在はエクステリアWEBマーケティングのプロフェッショナルとして700社以上の提携業者サポートと、年間2000件のエンドユーザー対応を行っている。データや数字から導き出される的確な判断は、業界関係者から厚い信頼を寄せられている。

 

 

加納 拓

加納 拓

二級建築士、1級エクステリアプランナー。 大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、2013年5月にエクステリア工事マッチングサービス 「エクステリアの匠」を立ち上げる。「現場目線のマッチングサービス」として 「エクステリアの匠」は利用社数1000社を超える日本最大級のエクステリア工事マッチングサービスに成長。2018年からは 「エクステリアの匠」での経験と知識を元に、全国のエクステリア関連企業向けにウェブ・営業・ブランディングなどのコンサルティングを行う会社「株式会社タクミテーブル」を創業、代表取締役社長に就任。「IT企業目線ではなく、エクステリア販工店の現場目線でのIT活用術を提案する」ことを目的とした姿勢は多くのエクステリア関連企業から評価を得ている。

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