エクステリアの総合情報サイト くらそうねエクステリア

投稿

超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策~インタビュー編①~

第29回
超高齢化社会を迎えるためのエクステリア対策
~インタビュー編①~

([連載]WEBマーケティングの現場から読み解くエクステリア業界vol.29 2017年8月号/月刊エクステリアワーク)

 

☑ 介護を交えたエクステリア提案が増えてきた

☑ 今後、さらに介護エクステリアのニーズが増えてきそう

☑ 介護エクステリアの提案力をもっとつけたい

☑ 介護・リハビリテーションのプロの視点からみたエクステリアとは?

 

前号からスタートしました「介護エクステリア」をテーマに、今月からは静岡県浜松市にある保健医療福祉の総合大学『聖隷クリストファー大学』の助教であり、作業療法士でもある中島ともみ先生のインタビューをお送りしていきます。
家族の誰かを介護するにあたり、またはいずれ来る自分の老後に備えてお住まいを介護しやすい設計にリフォーム・新築する方も非常に多い中、エクステリアにできることはもっとたくさんあるのではないでしょうか。これまでに介護用エクステリアを設計したことのある販工店さんも多いとは思いますが、介護のプロフェッショナルから見た現在のエクステリアはどのように見えているのか、具体的なお話をいろいろとうかがってきました。

 

話し手 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 作業療法学科 助教・中島ともみ先生

聞き手 ㈱クラッソーネ 「エクステリアの匠」事業部長・加納 拓

—————————————————-

前号のおさらい「エクステリアと自宅介護」における4つのポイント

  1. 一般的な介護住宅・介護リフォームにおけるエクステリア

  2. 「介護される側」だけではなく「介護する側」の存在

  3. 建築の考え方では当たり前のことが介護の視点では異なる場合も

  4. 介護とエクステリアに共通する考え方は「個別の事情に対応する」

今号から、これら4つのポイント別に分けて中島先生の具体的なお話を掲載していきたいと思います。

—————————————————-

 

《今回のテーマ》
1.一般的な介護住宅・介護リフォームにおけるエクステリア

◆作業療法とは?

まず基本的なことから質問させていただきたいのですが、リハビリなどでよく耳にする【作業療法】というのは何でしょうか?

 

(中島) 【作業療法】というのは、基本的には肘から下の部分を使って何かの「作業」をするために、肉体的にも精神的にも私たち作業療法士がアドバイス・サポートをしながらリハビリをすることです。

 

「作業」というと、具体的にどんなことでしょうか?

 

(中島) 家の中で言えば、例えば洗濯機から洗濯物をカゴに出す、それを持って干し場まで歩き、洗濯物を干すという作業や、食器とスプーンを持って自分で食事をする、などのことですね。家の外で言えば、ポストから新聞や郵便物を取ってくるなどが「作業」と言えます。また、作業療法とは、ご本人が「どうしたいか」「どうするべきか」というヒアリングを個別にじっくり行って精神的にサポートしていく面も非常に大きいという点が特徴の一つです。

DSC_0077

 

◆たったひとつのエクステリアによって変わってしまう人生

これまでに経験されてきた場面で、エクステリアについて何か思うところはありますか?

 

(中島) バリアフリー、ユニバーサルデザインという単語が広まり、生活空間における段差はかなり減ったとは思います。しかし、それでもたった数段の階段のために在宅介護を諦めた方もいらっしゃいます。そのときは「たった数段の階段で家に帰れないなんて…」ととても残念に思いました。

 

たとえその階段を昇り切ったとしても、外出のたびにその難関を乗り越えなければならないというのは、外に出たいという気持ちすら奪ってしまいますね。

 

(中島) そうなんです。先作業療法はその人らしい生活スタイルが実現するよう心のリハビリをしていくことも非常に重要です。せっかく「外に出て人に会いたい」「公園に散歩しに行きたい」と思っていたのに、数段の階段のせいで「あんなに危険で大変な思いをしてまで外出したくない」という気持ちになってしまいます。エクステリアひとつでその人の人生が社交的で楽しいものになるか、家に引きこもってしまうかを大きく左右するということですよね。

 

◆スロープ&手すりを設置すれば問題解決!ではない!

そのような事態に備えて、あらかじめスロープや手すり等を設置しておくという方も多くいらっしゃると思いますが、どうでしょうか?

 

(森野) 作業療法的に見れば、外出する際、必ずしも玄関からである必要はないんです。寝室から屋外までの距離や障害物はできるだけ少ないほうがいいので、リビングや寝室の窓から出てすぐに目の前を駐車場にしたり、車椅子を横付けできたりしたほうが、玄関のドアを開けて手すりにつかまってスロープを歩くよりずっと安全で効率的ですよね。

 

「介護エクステリア=スロープ&手すり」とつい考えてしまいがちですが、いかに安全に無駄なく外出できるかというのを合理的に判断していくのが大事ですね。

(次号に続く)

■今回の対談から見えてきたこと

1. もっと密接にならならけれないけない「エクステリア」と「作業療法」

2. 数段の階段の有無だけで、暮らす場所も人生も変わってしまう

3. 「介護エクステリア=スロープ&手すり」でないこともある

これから超高齢化社会がやってくる日本で、介護の場面を想定した家づくりは更に求められるようになります。これまでも「介護エクステリア」の提案はあったと思いますが、医療・リハビリの世界が進化を遂げています。その中でエクステリア業界もそれに伴って更なる進化と多様化するニーズへの対応も必要と迫られるようになるのではないでしょうか。次回も中島先生へのインタビューをお送りします。

 

こちらの連載記事は月刊エクステリアワークに載っております。ご購読希望の方はリンクよりサイトにお進みください。

加納 拓

加納 拓

二級建築士、1級エクステリアプランナー。 大手ハウスメーカーのトップセールス営業として8年間勤務し、2013年5月にエクステリア工事マッチングサービス 「エクステリアの匠」を立ち上げる。「現場目線のマッチングサービス」として 「エクステリアの匠」は利用社数1000社を超える日本最大級のエクステリア工事マッチングサービスに成長。2018年からは 「エクステリアの匠」での経験と知識を元に、全国のエクステリア関連企業向けにウェブ・営業・ブランディングなどのコンサルティングを行う会社「株式会社タクミテーブル」を創業、代表取締役社長に就任。「IT企業目線ではなく、エクステリア販工店の現場目線でのIT活用術を提案する」ことを目的とした姿勢は多くのエクステリア関連企業から評価を得ている。

ページの先頭へ戻る